【映画】「ギフテッド 」感想

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完売で見れなかった翌日、「ギフテッド」リベンジしてきました!

この日も完売で、始まるぎりぎりに入ったら最前列しか空いてなくて首がくっそ疲れた&隣のおねーさまが鼻詰まり気味なのか終始鼻息が荒くシリアスシーンで隣から「…ッフー、…ッフー」ってずっと聞こえてきてちょっと気が散ったという2点の環境要因を除けばとっても良かったです!!笑

 

<あらすじ>

生まれて間もなく母親を亡くした7歳のメアリーは、独身の叔父フランクとフロリダの小さな町でささやかながら幸せな毎日を送っていた。しかし、メアリーに天才的な特別な才能が明らかになることで、静かな日々が揺らぎ始める。メアリーの特別扱いを頑なに拒むフランクのもとに、フランクの母イブリンが現れ、孫のメアリーに英才教育を施すため2人を引き離そうとする。そんな母に抵抗し、養育権をめぐる裁判にのぞんだフランクには、亡き姉から託されたある秘密があった。(映画.comより)

 

まあ、オーソドックスなヒューマンドラマって感じのストーリーなんですけど。

泣いた。めっちゃ泣いた。隣のおねーさまの鼻息音以上に泣いたから、わたし隣のおねーさまに文句言えない。ごめんなさい。

マーク・ウェブ監督は「(500日)のサマー」のみ見たことありますが、台詞ではなく表情で感情の機微を描くのが上手な方だなあというのがその時の印象で、今回もそれは感じました。

オーソドックスでありきたりなストーリーをこれだけの感動作品に昇華させたのは、彼の「肝心な一言は喋らせずにおく」独特の抜け感と、各キャラクターの設定の賜物だと思う(後述)。

あとマッケンナ・グレイス演じるメアリーがめっっっちゃかわいい。子どもらしくない物言いと、子どもらしい表情や仕草が共存していて非常に魅力的。お気に入りのシーンは大人の情事を察してしまった後に「気まずいよね〜」ってすっとぼけて言い放つシーンです。

 

以下、ネタバレ含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これ、個人的には、実の親子じゃないところが脚本のミソだったと思う。叔父と姪という、血縁だけれど本当の「親子」ではない2人に、友人(隣人)のロバータが加わって、疑似家族的なコミニュティを形成していて、それこそがメアリーの理解者であり心地の良い居場所であると描き切ったことで、「家族とは何か」「愛するとは何か」というヒューマンドラマの純度が高まっていた。実の親子だったら、きっとこの感動はなかった!単純な血縁や社会規範(こうあるべき)に拠らない「家族」「居場所」の表現は、個人主義が際立ってきた現代において実にしっくりくるものだったように感じる。

 

メアリーに対して「普通の生活をしてほしい」と望むフランクと、「天賦の才を活かしてほしい」と望むイブリンの二項対立で話が進んでいくけど、流れ的にイブリンは悪者になってしまうけど、わたしからみると実は2人ともそんなに変わらないというか、それぞれのエゴを別の形でメアリーに押し付けているだけなんだよなー。

天命(そうしなければならない)論としてのA:フランク→「姉の"普通に生きてほしい"という遺言」、B:イブリン→「天賦の才を持つものは人類のために活躍しなければならないという正義」

自分のエゴとしてのA:フランク→「ただ面白くて、側にいて欲しかった」、B:イブリン→「自分も娘も成し得なかった、数学者として名を挙げることを実現して欲しかった」

なんだよね。これ面白いなーと思ったのが、もしイブリンが自分は数学者じゃなくて、娘も数学者じゃなくて、純粋に「才能は活かすべきだ」ということのみを説いてくるキャラクターだったら、フランクってめっちゃ懐狭い人物にみえてた気がする。今回、この映画がヒューマンドラマで愛を描いた作品として仕上がってるのはひとえに「才能を(メアリーのためではなく自分のために)利用しようとする」イブリンが居たからだ。居なかったら「天賦の才を持つものはどう生きるべきか」って哲学の話にきっとなってた。端的に言うと、完璧に二項対立にさせてた脚本とキャラ設定が素晴らしい、ということ!

 

結局2人ともメアリーがどうしたいかなんて分かってないし、フランクのいうように自分の決断に自信は「ない」不安な状態なのだ。ただ、2人がぶつかってくれたおかげで、メアリーは「天才の生き方」と「普通の生き方」をどちらも垣間見ることができた。

その上で、どう生きるかを選んだのはメアリーで、今後どうしていくのかを決めるのもメアリーだ。

最後、フランクの元に住みながら大学(?)に通いながらガールスカウトに参加するメアリーの姿が描かれていたけど、あれは今の段階でのメアリーの「やりたいこと、すべきこと」が詰まった生活で、大人2人の思惑なんて入ってるようで入ってない。結局大人は、子どもに意見や意思を伝えることはできても、何が正しいか心地よいか選ぶのは子ども自身であって、そういう意味でこの映画で描かれてた「愛」とは「見守ること」だったように思う。

 

個人的にはイブリンがどーにも憎めなくて、なぜならわたしの母に通ずるところがある…笑。40近いおっさんの息子に日焼け止め塗れとか細々と命令してたりとか、権威主義的で差別的なところとか、なんかもうひとごととは思えなくて…そんなイブリンが娘の遺言で「(論文を)死んだ後に公開してほしい」なんて言われてて、ウワ〜〜〜〜残酷〜〜〜〜でも自業自得〜〜〜〜!って複雑な心境だった。わたしも親にやりかねない。でも、そこに同情とか要らんな、と悟りを開いたりなどした。

 

映像がとにかく綺麗で、特にビーチでフランクとメアリーが戯れるシーン、逆光でシルエットにすることで「愛」を具現化しているように見えてめっちゃ良かった。

総評、良い映画でした!